材料に応じて、接合部が連続性を持つように、熱又は圧力もしくはその両者を加え、さらに、必要があれば適当な溶加材を加えて、部材を接合する方法。
溶接法を分類すると
溶接は、その接合の機構によって、融接、圧接、ろう接に分けられる。
融接:
被溶接材料(母材 )の溶接しようとする部分を加熱し母材のみか、または母材と溶加材(溶接棒など)とを融合させて溶融金属を作ってこれを凝固させ接合する方法。 機械的圧力は加えない。
圧接:
接合部へ機械的圧力を加えて行う溶接法。
ろう接:
母材を溶融することなく、母材よりも低い融点を持った金属の溶加材(ろう)を溶融させて、毛細管現象を利用して接合面の間隙(すきま)にゆきわたらせて接合をする方法。
硬ろうを用いるろう付と比較的融点の低い軟ろうを用いるはんだ付とがある。
融接 | ガス溶接–酸素アセチレン溶接 アーク溶接(自動アーク溶接・半自動アーク溶接) ・非消耗電極式 –ティグ溶接(TIG溶接)・プラズマ溶接 ・消耗電極式 –被覆アーク溶接・サブマージアーク溶接・ミグ溶接・炭酸ガスアーク溶接・セルフシールドアーク溶接 エレクトロスラグ溶接 電子ビーム溶接 レーザービーム溶接 |
圧接 | 抵抗溶接重ね抵抗溶接–スポット溶接・プロジェクション溶接・シーム溶接 突合せ抵抗溶接–アプセット溶接・フラッシュ溶接・バットシーム溶接 鍛接・摩擦圧接・爆発圧接(テルミット溶接) |
ろう椄 | ろう付け・はんだ付け |
溶接の歴史
紀元前3000年頃にはすでに金属を接合する方法として鍛接、リベット接、ろう付が用いられた証拠がみられる。
たとえば、メソポタミア地方で発見された雄鹿の頭部をあしらった銅製の飾り板(レリーフ)の枝角の接合にはろう付が用いられているし、すこし時代は下がる が、紀元前1400年頃に造られた古代エジプト王ツタンカーメンの黄金の棺の中から明らかに鍛接したとみられる鉄製の装飾品が発見されている。
このように、接合は古くから知られた技術であったが、他の多くの工業技術と同様近代的な技術としての溶接の幕開けは産業革命までまたなければならなかった。金属を溶融させ接合する技術の発明は19世紀に入ってからである。
1800年にイギリスのデイビーがアークを発見した。しかし、当初アークはアーク燈の開発に興味の中心があり、溶解・溶接への応用についてはほとんど関心 を持たれなかった。それに大電力を必要とするアークを長時間持続させるにはそれだけの電力容量を持つ電池・電源の開発が必要であった。
有名なファラディによる電磁誘導の発見が1831年であり、その30年後には発電機(ダイナモ)が開発された。
1880年ごろ、フランスのドメリスタンが蓄電池の鉛板の接合に炭素アーク熱を利用した。そしてその弟子ドベナールはいろいろと工夫と改善を加え実用的アーク溶接法を開発し特許を取得した。
その後、ロシアとアメリカでそれぞれ別々に金属電極と金属板との間に発生させたアークで金属板を溶融溶接する被覆アーク溶接のもとになる、いわゆる「金属アーク溶接法」が開発され、以来溶接技術は急速に工業的に利用されることになった。
このように19世紀から20世紀はじめは、現在広く実用されている溶接法の原形が次々と開発された時期である。さらに第2次世界大戦にかけて、サブマージ 溶接、ティグ溶接、ミグ溶接な ど現在の主流を成す溶接法が開発され工業化社会の生産技術の担い手となる溶接技術へと発展する端諸が開かれる。我が国への本格的な導入は欧米に比べてやや 遅れ、ほとんど戦後になってからであるがその後の普及・進展はめざましく種々の改良が加えられ、重工業の発展に大きな影響を与えた。
最近では1948年に電子ビーム溶接、1960年頃にレーザ溶接法が開発され多種多様な他の溶接法と共に、材料や構造に応じて適切な溶接法を選択すること ができるようになってきた。そして溶接接合品質の安定化、溶接作業の高効率化などをめざして技術の開発が精力的に進められハイテクノロジーとしての溶接・ 接合技術が確立されつつある。